自筆証書遺言書の書き方の注意点と法務局の保管制度について

法務局の保管制度のメリット
自筆証書遺言で作成された遺言書を法務局(遺言書保管所)で保管する「遺言書保管制度」が2020年7月から始まりました。(相模原市であれば横浜地方法務局相模原支局)この制度のメリットとしては主に下記のようなものがあります。
① 遺言書の改ざんや紛失を防ぐ
② 法務局職員による外形的な確認が行われ方式不備で無効になることを防ぐ
③ 家庭裁判所の検認が不要
④ 通知によって遺言書の存在を相続人に知らせられる
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保管制度の利用状況
保管制度の利用件数は2023年では57,396件、2024年では79,128件あり、2020年当所から毎年16,000~20,000件で増加しており、認知度も上がり、使いやすくて安全という面で今後ますます利用が増加するものと思います。(法務省「遺言書保管制度の利用状況/2024年7月 参照)
ちなみに公正証書遺言は、2023年で118,981件の利用があり、公証人が遺言書としてまとめ、公証役場で保管されるという制度のため最も安心確実な方法として信頼されています。(日本公証人連合会「遺言公正証書の作成件数について」/令和5年 参照)
自筆証書遺言の書き方の注意点
自筆証書遺言書の書き方の注意点としては民法に定められており要件は以下の通りです。
◇自書と押印 (民法968条1項の要件)
- 遺言書全文の自書
- 遺言書の作成日付の自書
- 遺言者の自書(署名)
- 遺言者の押印
◇財産目録 (民法968条2項の要件)
相続財産の内容は、財産目録として遺言書本文が記載された用紙とは別紙で添付にすることができ、自書でなくても有効です。その場合は別紙のページごとに署名し押印する必要があります。
◇文言の変更 (民法968条3項の要件)
遺言書の文言の変更・追加する場合は、その場所を指示し、変更した旨を付記して署名します。また、変更した場所には押印します。変更の方法はこの要件以外に、以前作成した遺言書の一部を取り消す旨を記した遺言書を新たに作成する方法、または、変更した内容で新たに遺言書を作成し直す方法があります。
遺言書内容の変更の仕方の注意点
遺言書の内容の変更する必要が生じた場合は、新たに遺言書を作成する方が不備なく確実で、既存の保管の申請を撤回して遺言書を返却してもらい、内容を変更して再度保管の手続をする手順をとります。撤回せずに新たに遺言書を追加で保管する方法も可能ですが、相続人にとって分かりにくくなることもあり、撤回の手順が推奨されています。(遺言者自身の氏名、出生年月日、住所、本籍等の変更は変更届でできます))
遺言書に関することについて不安がある場合は、行政書士等の専門家へご相談ください。
エバーグリーン行政書士事務所では皆様にご満足いただけるよう親切丁寧にご対応いたします。
(参照資料)「自筆証書遺言書の保管制度のご案内」法務省民事局
「保管申請の撤回や変更届について」東京法務局
保管制度の図 出典;政府広報オンライン

